海外留学のグローバルスタディトップ > アメリカ大学留学奨学金プログラム > TOEFL iBT・IELTS・Duolingo English Testの徹底比較> TOEFLとIELTS、どちらを受験すべきか?
TOEFL iBTと IELTS の比較
まずは、近年までアメリカなど英語圏への留学・大学進学希望者などには、王道の英語力テストの役割を果たしてきている2つの試験、①TOEFLと②IELTSを、徹底的に比較していきます。
というのは、その二つのテストに共通点も多く、どちらを受験すべきか悩む方も少なくないのではないでしょうか。
つきまして本記事では、試験状況からスコアの有効性まで、各ポイントで細かく比べていきます。
その上、細かい比較を踏まえて両テストのメリット・デメリットをこちらにてまとめているので、どちらのテストがご自身に一番合っている判断する手がかりにお使いください。
※ Duolingo English Testの試験の流れ・その他詳細はこちらをご覧ください。
試験の目的
TOEFLはアメリカの大学教育を反映した試験であるのに対して、IELTSはイギリス型の大学教育を反映した試験です。アメリカの大学教育とイギリス型の大学教育は異なりますから、TOEFLとIELTSの試験スタイルも当然ながら変わってきます。
アメリカの大学は大まかな理解を重視し、イギリスの大学は研究や知識を重視する傾向があります。そのため、TOEFLでは文脈を大雑把につかんで選択肢の中から解答を1つ選ぶ多肢選択式の問題が多いのに対して、IELTSは問題の中で学んだ知識を正確に答える穴埋め式の問題などが多く出題されます。また、TOEFLはリーディング力とリスニング力、ライティング力、スピーキング力をまとめて判定する総合問題があるのに対して、IELTSは研究者の卵として要求されるようなグラフデータなどの分析力を問う問題が、ライティング試験に含まれています。
また、TOEFLは専攻色が強めで、IELTSは専攻の方よりがなくGeneralなアカデミック英語の試験です。
試験方式【コンピューターか筆記か】
TOEFLは一部始終をパソコンで受けるため、ライティングの解答方式は「タイピング」になり、スピーキングは一方的に録音することになります。
一方、IELTSには【パソコン版】と【ペーパー版】の2つの形式があります。
ですので、「制限時間内でうまく自分の回答をパソコンで打てるか不安。。」という方には、慣れた紙と筆記用具で受験するIELTSのペーパー版が安心できるかもしれません。
※IELTSはいずれもの方式では、スピーキングは変わらず他の部分から孤立した対人面接です。
IELTSは2つの試験方式が選べる
受験方式 | IELTS ペーパー版 |
IELTS コンピューター版 |
---|---|---|
実施 エリア |
全国主要都市で実施 | 東京駅前・東京市ヶ谷・名古屋・大阪で実施 ※東京市ヶ谷・名古屋はバークレーハウス運営 |
開催日程 | 毎月4日程度開催 | ほぼ毎日開催 |
結果 ウェブ公開 |
試験13日後 | 試験3~5日後 |
受講料 | 25,380円(税込) | |
特典 | 英検協会IELTSテストセンター限定の特典あり! |
リーディング試験
試験のライティング部分はTOEFL iBT は36分の合計文字数 1,400文字・20問に対して、IELTSでは60分の合計文字数 2,150~2,750語・40問と、IELTSの方が量・所要時間が断然多いです。
一方、IELTSの方が一般大衆向けの文章を採用しているため、読みやすいと感じる人が多いようです。
※TOEFL iBT・TOEFLのそれぞれの4技能に関するより詳しい内容は本記事の「TOEFLとIELTS出題内容・テスト構成 比較」セクションをご覧ください。
ライティング試験
TOEFLのライティング課題2問中の1つは総合問題ですので、ライティングのパートではありながらリーディング力やリスニング力がなければ対処できない問題となっています。解答時間(実際に書く時間)が約30分しか与えられていないにも関わらず、合わせて最低400語以上を入力する必要があるため、書く量としてはかなりのボリュームが必要です。
一方、IELTSでは2問中の1つはグラフなどを分析する問題となっていますので、ほとんどの受験者は特別に対策をしておく必要があります。解答時間の合計は60分与えられており、記入する語数は合わせて最低400語ですから、TOEFLと比べれば書くボリューム的には余裕があると言えます。また、タスク①の書く文字数は150語以上、タスク②は250語以上のため、時間配分にも大切です。
一方で、IELTSは手書きスタイルですから、TOEFLのようなタイピング式と異なり、タイピングが得意な人にとっては同じ内容を書くにしても時間がかかり大変でしょう。実際、IELTS試験で問われる4技能の中でもっともスコアを取りにくい(世界的に平均スコアが低い)のは、このライティングのパートです。
リスニング試験
TOEFLもIELTSも、会話形式の設問もあればレクチャー形式の設問もありますが、TOEFLはより長い間(3~5分)メモを取りながら音声を聞き、大まかに理解した上で解答していくスタイルであるのに対して、IELTSの方が単語の穴埋め形式の問題なども多いため、音声を聞きながら解答欄を埋められる問題が多いです。また、TOEFLはアメリカ英語が多いのに対して、IELTSはイギリス英語が多く使われています。
スピーキング試験
TOEFLのスピーキング試験は、マイクを頭に付け、コンピュータに向かって独り言を言うかのように回答する形式です。録音された音声が、自動採点システムによって採点されるため、客観的なスコアが出るという特徴があります。回答を準備する時間と回答する時間が予め定められていますので、対策をしやすい一方、時間的には全く自由度がありません。また、スピーキング試験もライティング試験と同様、4問中3問が総合問題となっていますので、スピーキングのパートではありながらもリーディング力やリスニング力がないと解けない問題となっています。スピーキングにかかる時間は16分です。
一方、IELTSは日本の英検と同様に面接官と面接スタイルとなっています。テストセンターで、対面式かビデオコール式(パソコン画面越し)のどちらかの形式で1人の面接官とのマンツーマンですので、コンピューター画面に向かって一方的に話すのと異なり、会話性もあり、自分の言うことに相槌を打ってくれる相手が居るからこそ、自分のスピーキング能力が自然に発揮できるでしょう。その反面、パソコンに対して一人で吹き込むより本当の人間と話したほうが緊張する方もいるので、その場合はその対策も必要になります。
IELTSのスピーキングの所要時間は11~14分とTOEFLより若干短く、回答時間はTOEFLのようにコンピュータで設定されているわけではないため、TOEFLほど無理に時間内に収めようとする必要はありません。ただ、TOEFLと異なり採点する人数が少ない(面接官と録音した音声を聞いた採点者の2人が採点しているようです)ため、TOEFLほど客観的なスコアが出ない可能性があります。
試験時間
TOEFLの場合は全項目を合わせて約2時間、IELTSの場合は、解答を書く試験(ライティング+リーディング+リスニング)の2時間40分、そして別で受けるスピーキング面接の11~14分を合わせると合計約3時間かかります。IELTSのスピーキングは他の項目と同じ日に受けるように予約できるものの、別の時間帯にはなるので、TOEFLのほうが断然短いです。
TOEFLとIELTS出題内容・テスト構成 比較
TOEFL iBT
セクション | 所要時間 (公式目安) |
問題 |
---|---|---|
① Reading | 35分 | 2 つの文章、20 問 └ 1パッセージ=約 700語、10問 トピック:「大学の授業で使う教科書の、テーマを導入する文章に相当するもの」 ※ 問われる情報は全て文章に入っているので、トピックについて知らなくても大丈夫。 解答形式:多肢選択式 問題の種類: ・「事実情報・否定的な事実情報」=文章が何を言っている、または何を言っていないを判断する ・「推測」=文章から何を推測できるか ・「修辞目的」=どうして執筆者が文章のある情報を含めているか ・「語彙」=文章内の単語が何を意味するか(専門用語ではなく、一般的にアカデミック環境で使われている語彙) ・「文章の簡素化」=文章内のある部分と同じ意味を持つより簡単な文(言い換え)を特定する ・「テキスト挿入 」=追加文を既存文章のどこに入れられるか選択 ・「サマリー」=提案要約文(6つ)の中、最も適切なもの3つを選ぶ |
② Listening | 36分 | 28 問 ・ 講義3つ、講義1つにつき3~5分・6問 ・キャンパス内日常会話 2つ、会話1つにつき3分・5問 トピック: 会話2~3題(1題=5問、3分) 講義4~6題(1題=6問、3~5分、500~800語) 聴きながらメモを取ってもいいです。 解答形式:多肢選択式 問題の種類: ・「趣旨・目的」:パッセージの趣旨・主な目的が問われる問題 ・「詳細」:会話・講義の中で出てくる大切な内容に関する問題 ・「理由」:どうして話者があることを言ったかが問われる問題 ・「態度」:話者の発言から推定できる気持ちが問われる問題 ・「構成」:講義の内容について、教授がどうしてあることを言ったか(その情報の役割)が問われる問題 ・「アイディア間の繋がり」:会話・講義の中、要素と要素の間のつながり・訳が問われる問題 ・「推測」:発言から推測できることが問われる問題 |
③ Speaking | 16分 | 4 課題 1問目:スピーキング力のみを問う質問 準備15秒、回答45秒 └ あるテーマについて話す・質問に答える |
2~4問目:総合問題(読解+聴講の技能を使って回答) 読解45~50秒 ⇒ 聴講 ⇒ 準備30秒 ⇒ 回答60秒 ・ 話す内容:(例)聞いたパッセージ・会話の内容について語る └ トピック:2問目はキャンパスライフ、3~4問目は講義について |
||
④ Writing | 29分 | 2課題 1問目:総合問題(読解⇒聴講⇒作文) 読解3分、聴講2分(メモをとって)、作文20分(150~225語) 2問目:ライティング力のみを問う質問 └ 大学授業で教授が問う質問に対して自分の意見を書く(10分、100語~) |
公式サイト:「Test Content and Structure」
IELTS
セクション | 所要時間 (公式目安) |
問題 |
---|---|---|
① Writing | 60分 | 2課題(アカデミック) 1問目:150語以上、20分が目安 └ 目の前にあるもの(グラフ/テーブル/チャート/ダイアグラム)を説明 2問目:250語以上、40分が目安 └ 論点について意見を述べる |
② Reading | 60分 | 3パッセージ=40問(アカデミック)、合計2,150~2,750語 1パッセージあたり約20分 トピック:本・雑誌・新聞・オンライン記事など幅広いコンテンツから抜粋されたもの(専門ではないもの) 解答形式:穴埋め式、マッチング、多肢選択式など |
③ Listening | 40分 (内書き写し10分) |
4セクション=40問(日常英語+アカデミック) 1セクション目(10問):2人の日常的会話 2セクション目(10問):日常的内容の独りスピーチ 3セクション目(10問):4人以内の教育的会話 4セクション目(10問):学術的スピーチ 解答形式:穴埋め式、マッチング、多肢選択式など |
④ Speaking | 【別時間】 11~14分 |
※面接形式※ 3問(日常英語) 1問目:趣味・家族・学校など身近なトピックについて話す(4~5分) 2問目:論点について意見を述べる(3~4分) 準備1分、独り語り1~2分、面接官からの質問に回答1分 3問目:双方向での議論(4~5分) |
公式サイト:「IELTS テスト内容」
受験のしやすさ
年間実施頻度と開催都市数(日本国内)から考えられる「受験のしやすさ」に関しては、IELTSの種類によって話が少し異なってきます。
TOEFL iBTは年間85日程度の受験可能日(土・日、一部水曜 ※テスト日程に全ての会場でテスト実施があるとは限りない)を用意しており、受験可能都市も、北海道から沖縄まで33都市あります。
IELTSは、ペーパー版の場合は年間50回弱(月4回程度)の受験可能日で、日本の20都市で受験可能です、会場数・日程はTOEFLより少ないです。
また、TOEFLは開始時間1時間前に会場に到着し→約2時間のテストを受験し完了し→退館する、という流れを考えると、会場到着~退館まで、半日で一部始終が終えられるでしょう。
IELTSは実質の試験時間約3時間と、それに含まれるスピーキングの時間帯が別となっているので、同じ日で全てが受験できたとしても、「一日を空ける」考えで行った方が良いでしょう。
以上のことから、TOEFLのほうが受験しやすいと考えられます。
ただし、IELTSのコンピューター版の受験であれば、東京・大阪・名古屋の3大都市で(合計4つの会場)ほぼ毎日受けられるようになりました。
ですので、三大都市圏内にお住まいで、コンピューター版受験ご希望であれば、IELTSのほうが受けやすい可能性があります。
費用
受験費用に関しては為替レート次第でもありますが、TOEFL iBTが US $245(1ドル150円の場合36,750円)、IELTSが25,380円ですので、IELTSの方が安いです。
スコアの取りやすさ
日本人にとって、IELTSの方がスコアを取りやすいと言えるでしょう。IELTSの方は試験構成的にどのパートでどれだけの時間をかければよいかが明確で、TOEFLのように英語力を総合的に判定する総合問題がないため対策を立てやすいです。日本人は記憶力が良いと言われることがありますが、IELTSはTOEFLと比べると理解力よりも記憶力が求められる回答方式を多く採用していますので、日本人は比較的スコアを出しやすいです。日本ではスマホが非常に普及している一方で、パソコンを持ちタイピングが得意な高校生は非常に少ないため、ライティング試験に手書きで回答するIELTS(ペーパー版)の方が回答しやすいです。また、IELTSの総合的スコアの算出方法は、切り上げ方式を採用しているため、例えば各スキルで6.0、6.0、6.5、6.5という結果が出た場合、総合スコアが6.5と切り上げて算出されるため、高めの合計スコアになることが多いです。
実際に、日本人の場合、TOEFLよりもIELTSの方が世界の他の国からの受験生と比べて相対的に高い平均スコアを出しています。
TOEFL・IELTS・Duolingo English Testの徹底比較 目次
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