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アメリカ大学留学奨学金体験談(ウィスコンシン州)
ウィスコンシン大学オークレア校(University of Wisconsin-Eau Claire)
Where there is a will, there is a way.
- 河本 咲実 さん
- ウィスコンシン大学オークレア校(University of Wisconsin-Eau Claire / ウィスコンシン州)
- 専攻:政治学部
- 出身校:大阪府立三国丘高等学校
- 期間:2017年9月~(卒業予定)2021年12月
留学前について
留学前はどんな学生生活を送っていましたか?
私は大阪府の公立高校を2017年3月に卒業し、その年の6月まで4ヶ月間フィリピンバギオ市にある英語学校で学生スタッフの仕事をしていました。そして2017年9月にウィスコンシン大学オークレア校に入学しました。アメリカ大学に留学すると決めたのは高校3年生の9月で、それ以前は日本の大学を受験するつもりだったので、高校時代は日本の大学への受験勉強、クラブ活動、アルバイトなどをして過ごしていました。
なぜ日本の大学ではなくアメリカの大学を選んだのですか?
留学を決断する前は、アメリカ大学に行くなんて金銭的にも英語能力的にも不可能だから、皆と同じ日本の大学に進学しようといういわば消極的な理由で進路を思い描いていた訳ですが、ずっと海外大学に留学できたらなとぼんやり夢見ていました。夢が現実に変わったのは実際に海外大学に留学している日本人との出会いがきっかけで、留学に関する情報を得ることができたこと。留学は夢でなく実現可能で、学費や英語能力問題もひとつずつ解決していき、十分に現実的な選択肢だと確信し、アメリカ大学留学に踏み切ることができました。
なぜ奨学金留学プログラムを利用したのですか?
1つ目に返済の義務がない給付型の奨学金を受けられること、2つ目に大学選びや願書提出などの手続きを仲介しサポートしてくれることが挙げられます。特に私の場合留学への決断が遅かったので、主に2つ目の理由により奨学金留学プログラムを利用しました。
なぜ、今の大学を選びましたか?
他の候補大学と比べ、生徒数が大きく地域的な認知度もあり、またウィスコンシン大学システムのうちの1つなので、システム内での転校が容易であることが主な理由です。ウィスコンシン大学システムというのはマディソン校を本校とするウィスコンシン州立大学の集まりで、マディソンを筆頭に他にはミルウォーキー校などが有名です。また州立大学なので、宗教色関係なく様々な勉強ができると思いました。
留学前に感じていた不安はどのようなことでしたか?
普通のアメリカ人生徒ばかりのクラスルームで授業についていけるかが一番の不安でしたが、1ヶ月ほどで慣れ授業についていけないという不安は今では解消しています。
どのように英語学習を進めましたか?また、TOEFLやIELTSのスコアアップに取り組んでいる方にアドバイスがあれば教えてください。
私の通っていた公立高校ではTOEFL対策をしていなかったので、日本では自分で教材を取り寄せて勉強し、フィリピンの英語学校でスピーキングとライティングの集中コースを取っていました。スコアアップへのアドバイスは、(1)リスニングのノートテイクの練習(2)タイムを測ってスピーキングの録音(3)幅広いトピックでインディペンデントライティングの練習(4)タイピングスピードの向上
留学中について
留学先で一番大変だったことは何ですか?
留学中で一番大変だったことは友達作りです。私の大学では留学生の割合が2-3%、そのうち日本人は今現在3人しかいません。他の国からきている留学生は同じ国の生徒とグループをつくり、アメリカ人生徒とは文化の隔たりが大きくあまり馴染めないという状況でした。1年生が終わった今頃になってやっと大学や地域に馴染んできたかなと思います。
留学先で挑戦したこと・がんばったことを教えてください。
挑戦したことといえば、クラブ活動に参加したことです。スキークラブと日本文化クラブの2つに所属していたのですが、スキーのほうでは冬休みにコロラド州へ合宿にいき、日本文化クラブでは今年の4月に大学で開催されたインターナショナルフェアで日本ブースとして出席しました。どちらも楽しい部分もありましたが、苦い思い出になりました。スキー合宿では他のアメリカ人のノリに上手く馴染めず100%楽しめなかったです。日本文化クラブで参加したフェアでは、チームメンバーとの協力関係を築くのが難しく、私なりに全力で頑張ったけれど、結果としては満足のいくものではなかったですね。しかしどちらも新しいことに挑戦し、コンフォートゾーンを出ようと試みたという点では、留学中の挑戦したことのうちに入ると思います。全ての挑戦が成功に終わるわけではないですが(その逆の方が多いくらい)、その分学ぶことも多々ありました。アメリカでの人間関係の築き方や日本文化クラブでの活動指針などが見えてきたことなど、これらの挑戦が自分の成長につながっていることは間違いありません。
留学をする前と現在では、自分の何が変わりましたか?
留学前と今で変わったことは、学問に対する考え方だと思います。留学前は、専門以外の勉強や、自分で役に立たないだろうと判断した授業には興味が持てず、いわば学問の好き嫌いがありました。しかし1年間の一般教養や様々な分野の授業を経て、学問に対して優劣をつけ、真剣に取り組む前から有用性について判断を下すことは、誤っていると考えを改め、そこから学問ひいては学びという行為全般に対しての考え方がガラリと変わりました。今考えていることは、自分を取り巻く全ての人や場所から何か学べることがあり、学びのチャンスはどこにでも誰にでもあるということ。問題はそれを見つられるか見つけられないかのみだということです。
今振り返ってみて、留学前にしておけばよかったと思うことはありますか?
もっと日本中を旅していろんな日本人や日本文化を学んでおけばよかったと何回も後悔しました。アメリカ人や他の国に行けば、日本文化や歴史について様々な質問を受けます。それらに答えられなかったりしたときに、日本人としてすごく恥ずかしい思いをしました。そもそも日本にいる間は、自分が「日本人」だという意識が生まれないことが原因だと思います。日本という国は外国に面しているわけでもなく多くの他民族が住んでいるわけでもない。その中で自分は「日本人」だというアイデンティティを持つきっかけはごく稀であり、海外にでないと日本人アイデンティティが生まれないことが普通だと思います。だから特に今日本にいてこれから海外に出ようとしている日本に向けて、もっと日本の文化や歴史を様々な角度から勉強し、自国を誇って外国に来てほしいと強く願います。
留学で得たことは、今後の人生・キャリアにどのように生かせると思いますか?
海外に住んでいるからこそ得られた新しい視点というものがあります。米国に住んでいる日本人として、日本という国や文化を客観的に捉え直すことができ、外から見た日本はどのようなものかという視点を得られました。同じように、アメリカ人と交流していると、彼らから見た米国や世界観というものも少しずつ理解できてきます。これらの複数の視座をもっているということは、異なる考え方をする人を理解し、多様性を認めるために、これからも力になると思います。
留学をしてよかったと思いますか?
もちろん留学してとても良かったと思います。極端かもしれませんが、留学して得することはあっても損することは無いと思います。日本人留学生は減ってきており、企業からの需要も高いので、こだわり過ぎなければ米国大学卒業後に就職難に陥ることは無いと聞きます。大学の教育水準も日本と比べて高いですし、アメリカ人留学生共に生徒全体がとても良く勉強します。個人的にも、留学中に出会った人や経験は日本にいたら絶対に得られないものだったと思いますし、留学を決意して本当に良かったと思っています。
大学生活について
大学のサポート体制はどうでしたか?
留学生に対してのサポートは、期待以上だったと思います。大学レベルで留学や海外ボランティアを推進していることもあり、留学生が気軽に相談に行けるオフィスもキャンパス内にあります。留学生向けのオリエンテーションも、入寮後1週間あり、そこでほかの留学生友達もできますし、大学生活に対して不安なことや疑問点があればその期間に聞いておくこともできます。
寮生活で良かったことは何ですか?
食事・共有部分の掃除を全くしなくてよかったこと、コンピューターラボやキッチンが各寮についていたことなど。また、寮と大学が同じ敷地内にあるので便利でした。
寮生活で困ったことはありましたか?
ルームメイトとの相性は寮生活の中で一番肝心かもしれません。私の場合、ルームメイトとは自己紹介以外にほぼ全く話さず、(仲が悪かったわけではないのですが)彼女も友達の部屋に頻繁に泊りにいっていて、3日に一回くらいしか顔を合わさなかった、という少し奇妙な寮生活でした。結果的に1年の秋学期はほぼ1人部屋、そのあとルームメイトが退寮したので、春学期は完全な1人部屋になりましたので、楽ではありましたが結局なにかわだかまりが残る寮生活として1年間が終わりました。そのほかに困ったことといえば、食事が不味いくらいです。(これはアメリカ大学全般に当てはまると思いますが)
休日は何をして過ごしていますか?
秋学期は、土曜日はカフェで勉強したり読書したり、日曜日は毎週ではないですが誘われたときはホストファミリーと教会に行ったり食事にいったりしていました。何もせず宿題だけして週末がおわるというのも珍しくはなかったです。春学期から、マラソンのトレーニングを始めたので、土曜日の午前中はランニング、午後は勉強。日曜日はジムや読書して過ごすことが多くなりました。
大学で、勉強以外に取り組んでいることがあれば教えてください。
走ることが好きなので、2018年5月にあるオークレアマラソンに参加し、これからも継続してトレーニングしていこうと思っています。ほかには、前述したクラブ活動や、次の学期からは大学内でなんらかのアルバイトをしたいと考えています。
どのようにして友人ができましたか?
留学生向けオリエンテーションで、ほかの国からきた留学生と友人になりました。正直にいえば、アメリカ人と友人になる機会は何故かほとんどなかったです。しかしこれはあくまで私の場合ですので、一つの例として受け取ってください。もちろん留学生でも地元のアメリカ人やあらゆる人たちと友人だという人もいます。
周囲の学生にはどんな人がいましたか?
クラスルームの中では、基本的に自分以外全員、ウィスコンシン州かミネソタ州出身のアメリカ人でした。留学生も、中国とマレーシア出身の生徒が多いです。
アメリカという国や、滞在されている州や都市について感じたことを教えてください。
ウィスコンシン州オークレア市は、ほどほどの田舎で郊外都市なので、街中を一人で歩いていて危険を感じたことは無かったです。また中西部の特徴として、白人アメリカ人が多く、黒人やアジア人を街で見かけることは珍しいです。基本的に優しく親切な人ばかりですが、マジョリティではないが故に、たまに嫌な思いをするかもしれません。例えばベイエリアのような、異文化に対する理解と多様性に富んだ地域ではないということです。もっと生活に関連したことになると、アメリカは日本より物価が高いです。コンビニで百円のおにぎりやコーヒーなんて売っていませんし、レストランで食べる食事も値段が高く、クオリティは日本のほうが断然高いです。
夏休みなどの長期休暇期間は何をしましたか?
今年は5月20日に春学期が終わりました。1年目の夏休みは、中央ヨーロッパトラベルセミナーという、単位がもらえるヨーロッパ留学に1か月間20人の同じ大学の生徒と3人の教授といきました。留学といっても、ヨーロッパの特定の大学に滞在するのではなく、トラベルセミナーとして5か国を各都市5日間ほどで周り、美術や音楽や歴史などを、実際に目でみて学ぶという一般教養課程のプログラムです。プログラム終了後は2週間ヨーロッパに滞在し、南・東ヨーロッパを周り、個人旅行を楽しんだ後7月中旬に日本に帰国しました。そのあとは9月から始まる新学期の為に大学へ戻ります。
大学での勉強について
留学先の大学では何を専攻していますか(する予定ですか)?それは何故ですか?
出願時や留学1年目は政治学を専攻し、副専攻は経済学でした。しかし入学から1年たった今、経済学を専攻とし副専攻は多分数学に変えたいと思っています。最初政治学を選んだ理由としては、国際政治を勉強しジャーナリストになりたかったからでした。しかし、授業を通して政治学より経済学のほうが面白いと感じたので、政治学から経済学への変更を申請中です。入学前は将来つきたい職業を基に学部を選びましたが、実際に授業をうけてから、将来の職業はひとまず置いておいて、いま学問として何が好きか、勉強したいと思うかと自問し、経済学を選びました。
今までの授業で一番大変だった内容・科目は何ですか?
マクロ経済学の基礎コースが今まで一番たくさんの勉強量を要しました。毎日教科書やほかの資料を読んで、復習や自主課題をして、2-3週間に一回記述式の試験がありました。しかしキツイと同時に一番やりがいのある、進歩を感じられるコースでもあったので、あの時頑張ってよかったなと思います。
お気に入りの授業があれば理由も含めて教えてください。
上記の授業がお気に入りです。ほかには夏学期のトラベルセミナーも学びが多く楽しかったです。反対に、ディスカッションメインの授業はスピードについていけず置いてきぼりになってしまったりしたことで苦手意識が出来てしまいました。これからの学期では、その苦手を克服することが課題です。
どんな教授がいましたか?
私の大学では、ティーチングに力を入れていますので、私がとったどのクラスも教授は教え方がとても上手でわかりやすく、興味をひく内容でした。教授はアメリカ人だけでなく、中東やアジア諸国、また日本人教授も複数人います。2017年秋学期は文化人類学専門でインド出身の教授によく相談や質問しにいき、彼もアメリカ大学で留学経験があるので親身になって話を聞いてくれ、とても助かりました。上述したマクロ経済学の教授は進路相談にのってくれ、学部を変更することを決心したのもその教授が、卒業後の進路や在学中の研究について詳しく説明してくれたおかげです。
一日どのくらいの勉強時間を取っていますか(授業時間、自習時間のそれぞれで)?主にどこで勉強していますか?
学期中の平日タイムスケジュールとしては、朝7時ごろから図書館で1時間半-2時間ほど、一限目が始まるまで勉強し、一日2-3つのクラスを取っているので、昼休憩や授業の合間にも合計2時間ほど勉強します。一日の授業が終われば、急ぎの課題やテスト勉強がない限りはそれ以降自習することはありません。ジムやスイミングにいき、家に帰って10時までには寝ています。なので、自習時間は一日3時間半―4時間、授業時間は3時間から5時間、日によって異なります。
アメリカの大学で学んでみて、日本の教育と違う点は何だと思いますか?
クラスルームに活気があり、質問を積極的にしている生徒も多く、教授も教えることに対してとても熱心です。必須の課題はそれほど多くありませんが、それ以外の自主課題や参考資料、教科書をこなしていったら勉強時間は相当なものになり、学びも深まります。ほかにもオフィスアワーで気軽に教授と話せる機会があることなど、やる気があればとことん学問に打ち込める環境が整っているという点が、日本の画一的な教育とは違う点であり、アメリカ大学のいいところだと思います。
アメリカの大学授業についていけるかどうか心配される日本の学生は多いです。アドバイスがあれば教えてください。
クラスルームは前の座席に座り、熱心に授業をきいてノートをとっている生徒となかよくなって、わからないところや聞き漏らした箇所などをきける友人を各授業でつくることをおすすめします。日本のように固定のクラスというものがないので、心細くなることもあるかもしれませんが、わからないことは近くの生徒に聞いたり教授に直接相談しにいったりすると意外にあっさり解決するものです。
最後に
アメリカの大学に進学するかどうか悩んでいる方に向けて、アドバイスをお願いします。
直観でも情熱でも、なんでもいいけど心の底から本当にやりたいと思ったことは、必ず実現するものです。それは留学に限らずすべての可能性に対して言えることだと信じています。逆に、自分自身以外の意志で行動し選択したことは長続きしないし、ストレスになるだけです。周りの意見を過大視することなく、自分の意志で進路を決めてください。
これから留学に行く人へ、知らない土地で長く生活していると、苦しいこともあります。悲しいことも、日本に帰りたいと何度も思うことになると思います。それでもやりたいことがある、実現したい夢があると自分を強く信じて頑張ってください。
Where there is a will, there is a way.